辛い症状があるのに、検査では異常が見つからない!

 

病院で検査を受けても「異常なし」といわれ、適切な受けられないため、「ドクターショッピング」を繰り返している人が少なくありません。

 

≪特定の病名がつけられないとき「自律神経失調症」と診断される≫

現代医学は、「特定の病気には、特定の原因がある」という考えに基づいています。

ですから、病院へ行くと、最初に症状を聞かれ、医師はその症状に添った診察や検査を行い、原因を探ろうとします。

 

例えば「めまい」という症状は、内耳や脳のトラブルが疑われるため、それらの器官に異常がないかどうかの検査が行われます。

「息切れ」なら、心臓や肺に異常がないかどうかを調べられます。

しかし、いろいろな検査をしても体のどこにも異常を発見することができない場合があります。

 

以前ならそのようなときには、「心配ありません。気のせいですよ」で済まさせれがちでしたが、最近は、ストレスなどが原因で自律神経のバランスが崩れ、症状が引き起こされているものと考えられ、一般の内科でも「自律神経失調症」という病名をつけられることが多くなっています。

 

≪独立した病気とは認めていない医師もいる≫

しかし、「自律神経失調症」は、現段階では、正式な病名として公認されてはおりません。

そのため、医師の中には、自律神経失調症を単一の病気とはとらえず、神経症やうつ病に付随する“病態”とみなして、「自律神経失調症」という病名を使わない人もいます。

 

また、「検査では異常がなかったのだから、重大な病気ではない。とりあえず自律神経失調症としておこう」というように、診断上、便宜的にこの病名を使う医師も中にはいます。

 

このようなことから、医学的に見てたいしたことのない病気をまとめて放り込んでおく“病気のくずかご”とまで言われたこともあります。

欧米にも「自律神経失調症」という病名はなく、一般的には1つの病態として扱われています。

 

≪「自律神経失調症」の定義はまだ確立していない≫

このように自律神経失調症は、その定義や概念についてさまざまな考え方がある、非常にあいまいな病気です。

こうした混乱が解消されない原因の1つに、自律神経のバランスを客観的に測定する方法がまだ確立されていないことがあげられます。

 

「種々の自律神経系の不定愁訴を有ししかも器質的病変を見出し得ず、顕著な精神障害のないもの」

 

分かりやすく言えば、“さまざまな臨床検査をしてどこにも異常が発見されず、また、胃や心臓などの臓器にも病的変化が起きていないのに、いろいろな体の異常感、不快感を抱えている病態”のことです。

なお、自律神経失調症という病態は世界的に認められつつあり、1992年に、世界保健機構(WHO)が発表した病気の分類でも、「身体表現性自律神経機能不全」として、多汗や動悸など、持続的な苦痛を伴う症状をあげています。

 

≪ストレス社会に生きる現代人は誰でもかかる可能性がある≫

最近では、内科を受診する患者さんの3~4割が、心理的なストレスが原因の身体症状を訴えます。

なかでも自律神経失調症の患者さんが多くみられ、成人に限らず、小・中学生の間にも増える傾向があります。

自律神経失調症は、ノイローゼや性格障害、精神分裂症などと同じような病気と思っている人が少なくないようですが、そのような精神疾患とは異なり、ストレス社会に生きる現代人なら、誰でもかかる可能性のある、ごく一般的な病気と言えるでしょう。