自律神経失調症は、神経症やうつ病などの精神疾患と区別することが大切です。

 

 

≪神経症とうつ病はどちらも「心の病」≫

自律神経失調症は、神経症やうつ病などの精神疾患とは異なる病気です。

 

しかし、同じような症状が現れるケースが多いため、誤って診断されることも少なくないようです。

 

神経症もうつ病も、不安や意欲低下などの精神症状が強く現れる心の病気で、その原因は心理的・精神的なものといわれています。

 

自律神経失調症とオーバーラップする面もありますが、精神面のケアを優先する必要がありますから、区別して対処しなければなりません。

 

ここで、自律神経失調症と神経症・うつ病との違いについて整理してみましょう。

 

≪不安や心配などの精神症状が強い「神経症」≫

「ノイローゼ」ともいわれている神経症は、精神症状だけでなく、動悸や頭痛、胸痛、呼吸困難、めまい、発汗などの身体症状を伴うことがありますが、自律神経失調症と同様に検査をしても異常は認められません。

 

 

神経症は、大きく分けて次の2つのタイプがあります。

 

1.いつも不安がある「不安神経症」

実体のない漠然とした不安にとらわれているのが「不安神経症」です。

 

常に不安状態にあるため、外出先で動悸などのちょっとした不調を感じると、「もっとひどくなるのではないか」という恐怖にかられて緊張状態に陥り、本当に症状が悪化してしまいます。

 

その経験から、「また、あのような状態になるのではないか」と不安がつのり、仕事が手につかなくなったり、外出することもできなくなったりして、社会生活に適応できにくくなります。

 

 

“不安や心配事が先にあって症状が引き起こされる”のが不安神経症です。その点が自律神経失調症との違いといえることから、不安の度合いによって両者を区別します。

 

 

 

2.病気だと思い込む「心気神経症」

なんらかの症状を自覚したとき、その症状に対するこだわりが強く、「私は重大な病気だ」と思い込んでしまうのが「心気神経症」です。

 

各種の検査を受けて、医師から「どこにも異常がありません」といわれても納得できず、いっこうに心配は晴れません。

 

年中、身体のことを気にして、たびたび検査をうけたり、病院を転々とする人が多いようです。

 

診断結果にも疑いをいだき、“重大な病気なのに、医師にも理解してもらえない”と悩むのが心気神経症で、“異常はないはずなのに、症状が消えない”と症状そのものに悩むのが自律神経失調症といえるでしょう。

 

 

 

≪無気力で絶望感が強い「うつ病」≫

うつ病はその名の通り、憂うつ気分やイライラ感、意欲低下などの精神症状が現れます。同時に睡眠障害や倦怠感、頭痛、肩こり、食欲不振、便秘、動悸など、自律神経失調症と同じような症状が起こります。

 

 

最近は精神症状よりも身体症状の方が強く現れているうつ病の患者さんが増えてきています。このようなケースは、身体症状という仮面をかぶっているため、「仮面うつ病」とよばれています。

 

自律神経失調症との相違点は、うつ病は、午前中は気分が悪く、午後から良くなり、夜は眠れないという「日内リズム」があることと、自責の念や他人への配慮心が強いタイプがかかりやすいことなどが挙げられます。

 

 

≪神経症とは?≫

神経症には、「不安神経症」や「心気神経症」のほか、“何度も手を洗わないといられない”“ドアの 鍵を閉め忘れていないか気になって、家に戻らずにいられない”などの強迫思考が現れる「強迫神経症」、「ヒステリー」、高所・尖端・対人などの「恐怖症」、うつ症状が現れる「抑うつ神経症」などがあります。

 

 

☆ここがポイント

≪心身症と神経症の違いは?≫

自律神経失調症を含む心身症と神経症の違いの1つに、「失感情症(アレキシサイミア)」があります。

 

これは、今、自分がどんな気持ちなのか、どのような症状が起こっているのかに気づきにくく、また、言葉で表現できないような状態をいいます。

 

そのためにバランスのとれた対人関係が保てず、周囲に気を配りすぎたり、逆に孤立してしまったりします。

 

心身症の場合はこの傾向が強く、神経症は逆に感情が過敏で、言語表現も豊かだという違いがあります。

 

≪重いうつ病は減ってきている≫

患者さんの中には、「うつ病」と診断されたためにうつ状態が悪化する人もいます。

 

それに最近は、うつ状態が重い患者さんは減少していることから「気分障害」という病名がつけられるようになりました。

 

また、うつ病は精神病の1つでしたが、軽症化していることと、抗うつ剤の服用によってうつ状態が改善されることが多いため、躁うつ病・分裂病などの精神病とは分けて考える傾向にあります。