≪精神分裂病と並ぶ2大精神障害≫

躁うつ病あるいは、うつ病という病名は、最近ではよく聞かれるようになりました。

 

その知名度と同様に、精神障害の中でも代表的なものの1つなのです。

 

躁うつ病は精神障害の中でも感情病という種類に入り、文字通り、淋しさや悲しみなどの感情が普段の変化以上に常識的な範囲を超えて増幅されたり(うつ状態)、逆に気分が高まって何の根拠もない充実感に満たされたり(躁状態)という症状が現れます。

 

自分自身で感情をコントロールできなくなるほど偏って、周囲にも異常と感じられるほどになるのです。

 

物事に対する意欲についても同様で「自信がなくなり、気が起きない」といった意欲の減退が見られたり、それとは逆に「この世の中には自分に不可能なことは何もない」といった、自信過剰ともいえる態度をとったりします。

 

これらの精神的な症状に、肩こり、頭重、頭痛また不眠などの身体的な症状が組み合わさって、躁うつ病という病気が構成されています。

 

 

 

≪原因は不明だが、遺伝の要素も≫

躁うつ病は精神分裂病と同じ「内因性疾患」で、もともと自分が生まれ持っている素質(因)がもととなって発病するといわれています。

 

発病には遺伝的要素も関わっているのではないかと言われてきており、一般の人口に対する発病率が0.3~0.5%というデータがある一方で、親がうつ病の場合は9.5%、一卵性双生児の片方が発病した場合、もう一方が発病する確率は60~100%といわれてもいます。

 

これらの結果によると、発病には遺伝的な要素が関わっていることは無視できないようです。

 

躁うつ病にはうつの症状だけ、あるいは躁の症状だけが現れる単極型と、躁とうつが交互に現れる双極型という2種類のタイプがあります。

 

 

発病頻度としては、単極型のうつ病が1番多く、次いで双極型、単極型の躁病の順になっています。男性と女性では、1対2の比率で女性が発病する率が高いようです。

 

最近ではいろいろな研究が進み、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質の量の病的な変化、これらに反応する部位(受容体)の異常、ホルモンの代謝異常などがみられるということもわかってきています。

 

 

≪躁うつ病になりやすい人には共通のタイプが≫

これまでに、いろいろな研究者の手によって、躁うつ病になりやすい人にはいくつかのパターンがあることが報告されています。

 

中でも有名なのが、1921年にクレッチマーという人が報告した「循環気質」です。

これによると、躁うつ病になりやすいのは「環境に順応しやすくて、情緒的に共鳴しやすい」「対立を好まず、主義主張をしない(他人の意見に流されやすい)」「社交的、親切、親しみやすい、情にもろい」といった基本的特徴をもつとされています。

 

また、躁的な特徴としては「明るくユーモアがあるが、熱しやすく、時に激怒することがある」「いったん激怒しても、執念深くはなく、すぐに治る」といい、うつ的な特徴としては「口数が少なく、物静か」「涙もろく、悲しみが他人より長く深く続く」といった特徴があるとしています。

 

 

日本では1932年に下田光造が報告した「執念気質」というものがあります。

 

躁うつ病になりやすいのは「物事に執着が強く、一度手をつけると徹底的にやらねば気がすまない」「責任感・義務感が強い」「まじめで周囲の信頼もあつい」といったタイプの人だといわれています。

 

これらは社会生活を営む上で、決して欠点となるものではなく、長所といってもいいような要素です。

しかし、周囲がその人の性質を認め、期待すればするほど、期待された方は心身に疲労がたまり、それを押し殺して活動を続けて、発病につながるというわけなのです。

 

≪躁うつ病(双極型)の症状≫

◎感情面

≪躁状態≫

爽快、攻撃的、興奮、上機嫌、易刺激的、尊大、自信過剰、楽観的

≪うつ状態≫

憂うつ、不安、苦悶、自責、悲哀、絶望、日内変動

 

◎思考面

≪躁状態≫

思考にまとまりがなく、次々と話しが移る、注意や関心が次々と変わり集中できない

≪うつ状態≫

思考抑制、決断力低下、微小妄想(貧困妄想、心気妄想)

 

◎意欲・行動面

≪躁状態≫

多弁多動、行為心迫(手あたり次第行動し、まとまらない)、精神運動興奮

≪うつ状態≫

行動抑制、興味欠如、昏迷

 

◎身体症状

≪躁状態≫

不眠(早朝より起きだし、活動する)、食欲亢進または減退、体重減少、性欲亢進

≪うつ状態≫

不眠、食欲低下、体重減少、便秘、口渇、頭重感、頭痛、肩こり、性欲低下、日内変動