うつ病は、遺伝的要因、精神的要因、身体的要因によって脳内の神経伝達物質(モノアミン)が欠乏し、発症することが多いと考えられます。

遺伝的要因があるとうつ病になりやすい≫

うつ病は、親族内にうつ病の人がいる場合、いないよりも発症率が高くなることから、遺伝的要因とのかかわりが指摘されています。

 

しかし、いわゆる遺伝病のように、特定の遺伝子の異常が病気を引き起こすわけではありません。

現時点では、糖尿病や高血圧などと同様、うつ病になりやすい体質がひきつがれると考えられているのです。

 

つまり、うつ病の遺伝的要因を持つ人が生活環境や、心理的・社会的ストレスの影響を受けた時、他の人よりも発症しやすくなるということです。

 

 

≪心理的・社会的ストレスも大きく影響≫

うつ病は、精神的ストレスに起因して発症することが多いものです。

なかでも軽症うつ病のほとんどは心因性であり、ストレスの影響が非常に大きいといえるでしょう。

 

ストレスとは、さまざまな刺激に対する心身のゆがみや変調です。私たちのからだには、外界から刺激を受けて生じたひずみを修復し、からだを常に一定の状態に維持しようとする調整機能(ホメオスタシス=恒常性)が備わっています。

この働きによって刺激にうち勝ち、心身のバランスを保っているわけです。

 

ところが、強い刺激を受けたり、長期間ストレスにさらされると調節機能が乱れ、うつ病を招きやすくなってしまうのです。

また、身体疾患や老化など、からだの変化がうつ病の誘因になるケースもみられます。

 

うつ病は3つの大きな発症要因が脳内の神経伝達物質(モノアミン)の欠乏を招き、発症することが多いと考えられています。

≪脳内機能の変調が直接的な原因となる≫

うつ病の原因として、かつては主に性格やストレスとの関わりが指摘されていました。しかし1960年代以降、「脳内の神経伝達物質の働きの低下」という生物学的要因が明らかになってきたのです。

 

私たちの思考や感覚は、脳の神経細胞(ニューロン)の働きによって生まれます。

ニューロンの数は、大脳皮質と小脳を合わせてざっと1150億個。それらが、とてつもなく緻密な情報伝達網をつくりあげているのです。

 

たとえば、指先にとげが触れた時、その刺激が信号に変換されていくつもの神経細胞を瞬時に伝い、大脳皮質の「痛みの中枢」に達して「痛っ!」と感じるわけです。

 

ニューロン同士の経路は、直接つながっているわけではありません。各ニューロンは、約2000万分の1mmのすき間(シナプス間隙)に放出された神経伝達物質が、次のニューロンの受容体へ刺激を与え、信号は次々とニューロンを駆け抜けていくのです。

 

神経伝達物質として重要な役割を持っているのが、セロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)などの化学物質です。これらは、モノアミンと総称されています。

 

特にセロトニンとノルアドレナリンは、睡眠・食欲・感情などに大きく影響していることが解明されています。

 

人間の思考や感情は、ニューロン間での伝達情報がスムーズに行われることによってコントロールされているのです。

モノアミンが不足していると、情報伝達がうまくいかなくなってこころの変調を招く…。これがうつ病の「モノアミン欠乏仮説」です。

 

高血圧の治療薬・レセルピンには、モノアミンを減少させる作用があり、服用すると15~20%の人に副作用としてうつ状態がみられます。

このことは、モノアミン欠乏仮説の根拠となっているのです。

 

 

≪有力視されているモノアミン欠乏仮説≫

特に内因性うつ病は、放出されたセロトニンやノルアドレナリンなどが不足しているために、これを受け取る受容体の感度が高まりすぎておこると考えられています。

 

生物学的研究を基盤として開発された抗うつ薬は、実際に高い治療効果を上げています。

シナプス間隙に放出されたモノアミンは、酵素という物質によって分解されたり、もとのニューロンに再吸収(再取り込み)されます。

 

現在用いられている抗うつ薬のほとんどは、この再取り込みを阻害してシナプス間隙にモノアミンを蓄積させ、不足を解消して、受容体の感度をもとの状態に回復させる作用をもっているのです。

 

脳内機能の変調により、ニューロン間の情報伝達が阻害されて発症するという仮説は、抗うつ薬の効果をみても、現時点では有力なものと考えられています。

 

近年はさらに、シナプスのモノアミンだけでなく、神経細胞内のより詳しい情報伝達のしくみ、体の免疫、神経細胞の栄養因子や新生などにも関心が集まっています。

 

 

千葉市稲毛区にある轟はり灸治療院では、 心療内科の治療も行っています。

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