女性の場合、妊娠や出産、閉経などがうつ病のきっかけとなるほか、社会進出にともなう心理的・社会的ストレスが、うつ病を引き起こすケースも少なくないようです。

 

≪生殖機能やストレスが女性のうつの主因≫

女性に特有の月経、妊娠や出産といった生殖機能が誘因となって、こころの変調を招くことがあります。

 

女性の生殖機能にかかわるエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンは、心身の両面に大きな影響をおよぼします。

たとえば、月経が始まる数日前は憂うつになったり、いらいらしやすいものです。

 

こうしたケースは、頭重や全身倦怠感、むくみなどの身体症状を含めて月経前症候群(月経前緊張症)とよばれます。

 

妊娠や出産、閉経の際は女性ホルモンの分泌バランスがくずれるため、とくにうつ病があらわれやすくなるのです。

生理的な要因に加えて、女性のおかれた社会的な立場も、うつ病の発症に深くかかわっています。

 

積極的な社会進出にともなって、女性の価値観や生き方は多様化してきたといわれますが、実際のところ、結婚や出産後に仕事を続けることは容易ではありません。

 

仕事も家事も完璧にこなそうとして心身に疲労がたまり、うつ状態におちいる「スーパーウーマン・シンドローム」は、こうした現実をよくあらわしているのではないでしょうか。

 

 

≪コラム:摂食障害とうつ≫

摂食障害は、精神的ストレスによって「食行動」に変調をきたすケースで、神経性無食欲症(拒食症)と神経性大食症(過食症)に大別されます。

 

どちらも女性が大半を占め、発症のピークは10歳代後半から20歳前半にかけてといわれています。

 

太ることをおそれて節食、減食をつづけるうちに食事をとることが出来なくなり、極端に痩せてしますケースが拒食症です。

一方の過食症は、度をこした量の食物を無心に食べきり、そのあげく下剤を飲んだり、意欲的に吐いて排出してしまいます。

これは不安やいらだちの代償行為と考えられてます。大きな自己嫌悪がともなうため、繰り返しているうち、うつ状態におちいるケースが少なくありません。

≪出産後はうつ状態におちいりやすい≫

出産後は、女性ホルモンの分泌がアンバランスになります。

また、母親になった喜びを感じる一方で、育児に対する不安を抱くこともあります。

心身共に不安定なこの時期は、うつ状態を招きやすいといえるでしょう。

 

出産直後、数日から10日くらいの間は、いらいらしたり、気分が沈み込みがちになりやすいものですが、周囲の人の言葉や態度に過敏に反応して急に泣き出したり、強い不安感や疲労感を訴えるケースもみられます。

 

これは「マタニティブルーズ」とよばれる状態で、通常は一過性にあらわれ、自然に回復します。

しかし、うつ状態が数週間続いたり、いったんは治まっても数ヶ月後に再発した場合は、産後うつ病の可能性があります。

 

産後うつ病では、育児に対する意欲が低下したり、育児への自信がもてずに悲観的な考えを抱くほか、妄想が生じるケースもみられます。

また、子どもに対して愛情がわかず、母親としての役割を果たせていないという強い罪悪感に襲われる人もいるのです。

産後うつ病は母子関係に悪影響を及ぼし、子どもの心身の発達を遅らせることにもなりかねないので、早期に適切な治療を受ける必要があります。

 

心身の負担が軽くなるように、家事や育児の面で家族のサポートが欠かせません。

 

 

≪コラム:空の巣症候群≫

育児に専念してきた女性、とくに専業主婦にとっても、中年期は大きな転換期となります。

 

子どもの成長・独立をきっかけに、母親としての役割の喪失感、空っぽになった家庭内での孤独感やあせりなどによってうつ状態におちいるケースを「空の巣症候群」と呼んでいます。

閉経期と重なることが多いため、更年期障害による心身の不安定にも起因していると考えられます。

空の巣症候群では、心を癒すために人目を避けて台所で飲酒を繰り返すうち、キッチンドリンカーとなり、アルコール依存症に移行する人も少なくありません。

 

回復、脱却には家族の協力が不可欠ですが、本人にも家族の外へ目を向ける姿勢が求められます。

 

≪閉経期のうつ病と更年期障害≫

閉経を迎える更年期は、女性ホルモンのアンバランスからうつ病を発症しやすいものです。

子どもが手元を離れ、それが大きな心理的ストレスとなってうつ病を招くケースも少なくありません。

 

更年期障害では、抑うつ気分や不安感、自信の喪失、ほてりやのぼせ、めまい、動悸、頭痛、不眠など、うつ病と同じような症状があらわれます。

 

更年期障害の場合、ホルモン療法を行うことが多いのですが、うつ病に対する効果はなく、不安感や抑うつ感を強める可能性もあります。

閉経期に抑うつ症状がみられる場合は、慎重な診断と治療が必要です。

 

≪アルコール依存症とうつ≫

「お酒が唯一のストレス解消法」だという方も、少なくないと思います。

たしかに、適量の飲酒は一時的にストレスを緩和する作用があります。ただし、飲酒量が増えればまったくの逆効果で、ストレスを溜め込む結果になるのです。

 

アルコールは本来、感情の起伏を抑える作用を持つので、多量の飲酒を続けていると気分は「うつ」に傾いてきます。

 

アルコール依存症の人には、うつ状態がかなりの頻度であらわれます。また、うつ病の人が憂鬱感から逃れたくて、飲酒に依存するケースもみられます。

うつ病とアルコール依存症が合併すると、自殺の危険性が高まるのです。(死の二重奏)

 

千葉市稲毛区にある轟はり灸治療院では、 心療内科の治療も行っています。

どうぞお気軽にご相談ください。