「不安」が病気の中心-神経症~その1~

≪神経症は正しく理解されていない≫

心の病気の中で、神経症、いわゆるノイローゼは、比較的よく聞く言葉でしょう。

しかし、実際には病気そのものをきちんと理解したうえでその言葉が用いられることは非常に少ないように思えます。

「うちの子は赤ん坊の時、本当によく泣いたから、私、一時ノイローゼになったわよ」と軽く受け止められたり、あるいは「あの人、変な男の人に追い回されて強迫神経症になったそうよ」と、脅迫の意味が強迫になっていたりします。

 

 

さらには「Aさんは何度もノイローゼを繰り返してそのために入院するそうだ」と、躁うつ病や精神分裂病も含む精神障害全般が「ノイローゼ」の一言で片付けられてしまったりします。

 

つまり、精神症そのものの概念が一般的にかなり混乱しているように思えます。

 

≪「不安」が神経症の発生源≫

神経症の概念が混乱しているのは、専門家での間でも時代や国によって、神経症の概念がまちまちであること、あるいはその原因や症状が心身両面にわたって実に複雑であることが関わっています。

 

ただ、その原因や症状が複雑で多彩であるといっても、その現れ方にいくつかの共通点があり、その共通点によって神経症はいくつかの種類に分けられています。

 

このように、神経症にはいくつかの共通点がありますが、最も大きな共通点は、その症状の中心が「不安」である、ということでしょう。

 

もちろん、どんな人でも状況に応じて不安な気持ちを持つのは当然のことです。明日が入学試験当日であるとか、大人数の前でスピーチをせねばならなくなったといったときには、不安のために眠れない、胸がドキドキする、といった経験は誰しもあることでしょう。

 

これは対象がある不安で、現実不安と呼ばれています。

 

「不安は危険を知らせる信号」と言われるように、現実に危機が目の前で起こりそうな場合に、不安というものがまったくなければ、私たちは命を守ることすらできなくなります。

 

しかし、不安を感じるだけで神経症の症状になるわけではありません。

神経症の場合には、この不安が本人にとって、非常に苦しいものであり、ときには耐えがたいほどの苦痛を伴うものなのです。

 

さらには、社会的にも職業的にもその苦痛のために、何らかの支障が起こってくるようなレベルの不安なのです。

 

しかも、その不安がある程度の期間以上続いている、というのも特徴です。たとえば、不安のために電車にも乗れなくなって、家からほとんど出られなくなってしまったり、何度手を洗っても汚れが落ちない気がして、一日のうちの大半を手を洗って過ごすために、勉強もろくにできなくなってしまった、といったような具合です。

 

また、不安があってもいつもそれを自覚できるわけではありません。

その不安を自覚していないで身体に症状が現れる場合もあります。

そういう点から、入試の前やスピーチの前に多少眠れない日があったり、胸がドキドキするといったレベルとは、全く違うということがお分かりいただけると思います。

 

また、逆に神経症は、内因性の精神分裂病や躁うつ病などとも違います。素人には判別することが非常に難しいことも少なくありませんが、専門家がきちんと総合的に診察すれば診断がつきます。

 

 

「不安」が病気の中心-神経症~その2~

 

≪神経症には必ず原因がある≫

そのほか神経症にはいくつかの特徴があります。

まず、神経症が、原因がはっきりしない内因性の分裂病や躁うつ病などと違って、必ず精神的な悩み、それも悩みぬいた葛藤のようなものが原因となって引き起こされることです。

 

神経症は、ある出来事や人間関係など、本人にとってかなり精神的に葛藤を起こすようなことがあって、それが元となって引き起こされる病気です。

ですから、もしその出来事がなければ、当然その神経症は起こらなかっただろうと他の人も納得できるような原因があるものなのです。

 

たとえば、夫婦関係や嫁姑の問題、病気、近親者の死、受験、仕事上の悩み、学校でのいじめ、災害、環境の変化などその原因となることは人によって様々です。

逆にいうと、その原因となることが解消すれば、自然と神経症も治まることが多いのです。

 

≪神経症は体に異常はない≫

不安神経症という神経症があります。これは、突然、発作的に大きな不安が生じる病気です。同時に、頻脈や動悸が起こったり、息が詰まったり、めまい感、シビレ感、発汗などを伴い、時には「このまま死んでしまうのではないか」というくらいの恐怖感に襲われます。

 

救急車で病院に駆けつける人も少なくありません。

 

ところが、病院でいくら検査をしても身体的には全く異常がありません。

身体的には全く問題がないのに身体症状までも訴えられるというのも、神経症の特徴です。

 

≪神経症になりやすいタイプ≫

神経症は原因があるといいましたが、しかし同じ出来事が起こっても、神経症になる人とならない人がいます。つまり、その出来事を受け取る側の人によって不安の度合いが違い、それが病気の発症に繋がっていくわけです。

 

その受け取る側の人の違いというのは、本人の性格が元になって表れるといわれています。

 

では、そんなタイプの人が神経症になりやすいのでしょう。

神経質な人、感じやすくて傷つきやすい人、心配性な人、完全主義の人、自分に自信がない人、少しの汚れも気になる潔癖症の人、戸締りなど何度も確認しなければ気のすまない確認癖のある人、依存的な人、引っ込み思案の人、内気で小心な人、融通のきかない人、すぐ感情的になりやすい人、自己中心的な人…。

こう書くと、ほとんどの人に1つあてはまりそうな気がするかもしれませんが、こういった性格がわりと極端で、ささいなことで気分が動揺して、それをうまく解消することができない人が神経症になりやすいタイプといえると思います。

 

 

また、神経症になりやすいタイプの性格形成は、生まれながらの要素もありますが、そこに至るまでの生育環境が大きな影響を及ぼしているといわれています。

 

中でも両親との関係が最も重要です。両親との別離、両親の不仲、両親による暴力や虐待、盲愛、過保護、極端に厳格なしつけ、過干渉といったことが本人の性格形成に影響し、神経症になりやすい性格を作り上げていくのです。

 

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