40代以降に不眠に悩む人が増えるのは、ホルモンバランスをコントロールする「腎」が低下してくるのに加え、精神の安定に関わる「心」の働きが弱くなってくるからです。
腎と心が衰えると精神的に弱くなり、以前ならやり過ごせたトラブルをつらく感じるようになったり、ささいなことも気になるようになります。
そうした不安定な心が睡眠に悪影響を及ぼしてしまうのです。
特に若い頃から睡眠が浅かった人は「心脾(しんぴ)両虚(りょうきょ)」といって、心をサポートし、精神状態と深く関わる「脾」も弱いことが多いですが、更年期以降はこの心脾両虚がさらに進み、ますます不眠に悩むようになります。

≪睡眠時間の長さより質の良い睡眠を≫
不眠をストレスに感じるようになると余計に心の力が弱まってしまいます。
「年齢が高くなれば、眠れない日があっても当たり前。午後10時から午前2時のゴールデンタイムに少しでも寝ることができれば、頭は休まっている」と考えた方が気持ちが楽になります。
また、寝不足だからといって昼寝を長くすると、睡眠のリズムが乱れ、夜にまた眠れなくなってしまいます。
それよりも昼は活発に動きましょう。
適度に疲れた方が眠気を感じやすくなります。

≪安神(あんじん)作用のある食べ物で心を落ち着かせる≫
心の養生には「安神(精神安定)作用」のある食べ物も効果があります。
寝る前や夕食にとるとよりよいでしょう。
たとえば、温めた牛乳や眠りを誘う生薬のお茶を飲むのもいい方法です。
お酒は眠りを浅くして、夜中に目を覚ますことにもなりかねないので控えた方がいいでしょう。

≪運動や頭皮マッサージを習慣に≫
睡眠のリズムをつけるには、午前中にストレッチをしたり、大またで歩いたり、体を動かすことが大切です。
また、夜シャンプーをするときに、頭皮をうなじから頭頂に向けて指でマッサージすると百会(ひゃくえ)というツボが刺激され気分がリフレッシュできます。
