東洋医学からみる女性ホルモンの変「肝」へのコーピング術
意識的に自律神経を整えることを始めとする「肝」へのコーピング術は、更年期まっただなかの方もさることながら、それ以前の年代の方々についてもおすすめです。
更年期以前からいかに自律神経を整えておいたかということが、更年期の症状が重くなるか、軽くなるかの運命を左右するからです。
東洋医学では、女性の体は7年ごとの節目があると考えられています。
中国医学の古典「黄帝内経素問」には心身の機能のピークを迎えるのは「28歳」で、それ以降は「35歳で容姿の衰えが目立ち始め、42歳になると顔がやつれ白髪が目立ち始め、49歳で閉経する」と記されています。
つまり35歳から心身の働きは下降線をたどることになるわけです。
一方、男性の体は女性より1年長い8年ごとの節目となっています。
体の機能ピークは「32歳」で、それ以降は「40歳で頭髪が抜け始め、48歳で白髪が目立ち始め、56歳で性機能が衰え、64歳で老年期に入る」とされています。
女性の場合、できれば30代後半から40代前半のアラフォー世代にいるときから、「肝」へのコーピング術をおこなっておくと、更年期に不定愁訴で苦しまずに過ごすことが期待できます。
アラフォー世代の方々は「更年期なんて、まだまだ先」と思うかもしれませんが、更年期対策だけでなく、自律神経を整えることを意識しながらの「肝」コーピング術は、35歳以降の下降線をなだらかな状態にすることにも繋がります。
●更年期は女性ホルモンと自律神経が影響している☆彡
「肝」は更年期障害についても重要な役割を担っている臓です。
「肝」は「血」(血液)を蓄え、量を調節する働きがあることから、更年期という月経が停止することにともなう期間(閉経前後の約5年間、のべ10年間)と深く関係しています。
更年期にある方は「肝」が関係する自律神経のバランスが乱れやすい状態にあります。
更年期になると、冷えやのぼせ、ほてり(ホットフラッシュ)、動悸、めまいといった体に出る症状のほか、イライラや倦怠感、憂うつ、不眠など精神的な症状も生じます。
これらの症状は「昨日はここが辛かった、今日はここが辛い」と日々変わる(不定)訴え(愁訴)のため、不定愁訴とも呼ばれています。
日常生活に支障をきたすほどひどくなった状態が更年期障害です。
更年期の症状が「女性ホルモンが減る」という生物学的要因だけが影響しているとしたら、同世代にある女性はみんな同じ症状が出て当然ですが、実際は症状をほとんど感じていない方から、症状が重く更年期障害になってしまう方までさまざまです。
こうした個人差がどうして生じるのかといえば、「自律神経」が関わっていることが理由に挙げられます。
更年期になると、卵巣の働きが衰え、それにともなってそれまでバランスよく分泌されていたエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が減っていきます。
この女性ホルモンは大脳の視床下部でコントロールされているのですが、実は自律神経も同じところでコントロールされています。
そのため、女性ホルモンのバランスが崩れると、それにつられて自律神経にも乱れが生じてしまうのです。