若年性線維筋痛症の疼痛による歩行困難の 鍼灸治療の一考察

轟はり灸治療院1日本鍼灸神経科学会2 鍼灸メンタルサポート研究会3

息才博1,2,3 石田詠子1,2,3

 

 

目的

若年性線維筋痛症(JFM)は、10歳前後に発症し、男女比では1:4〜8と女児に多い。

全身の疼痛性疾患で、軽い刺激で激しい疼痛を訴えるアロディニア(allodynia)を特徴とした原因不明の筋・骨格系の疼痛(筋痛,関節痛)、頭痛、睡眠障害等を訴える。今回は当院に来院されたJFMの疼痛による歩行困難に対する鍼灸治療での改善を試みた。

 

症例

10歳8ヶ月 女児 主訴 201X年2月に発症し5月に1ヵ月間病院に入院し退院後は自宅での養生を行うが、翌年の1月頃から痛みが強くなり2月に当院へ来院した。全身の痛み特に下肢の痛みを強く認め歩行困難にて車椅子を使用。また、早朝時に疼痛が強くなる。疼痛による入眠時の睡眠障害があり朝起きられず登校障害を認める。漢方薬の小建中湯を服用

 

所見

体表の観察 頚部、腰部、仙骨部、下肢の皮膚の過緊張、下腹部の体表弛緩がみられる。

 

治療・経過

20XX年2月7日から5月17日 治療回数11回の治療を受診

小児針で身体全身に接触刺激療法とお灸は身柱、命門、関元に陶器灸(間接灸)の施術。睡眠の改善を目的にCBT-I(睡眠の認知行動療法)を行う。自宅でのセルフケアとしてお灸(身柱、関元)やスキンタッチ法(スプーン療法)の指導と睡眠ダイアリーの記入。7回目以降から痛みが軽減し車椅子を使用せずに歩行ができるようになる。9回目以降は睡眠が改善され学校へ登校ができるようになる。しかし、就寝時のイライラ感や不安感、日常の弱い痛みは続いている。

 

考察

皮膚刺激は、自律神経反射や運動反射、鎮痛効果など、生体に様々な影響を与えていると考えられており、小児針で皮膚への軽微な刺激は自律神経に影響を与え睡眠障害の改善や皮膚刺激により侵害反射を抑制することから疼痛が軽減されたと考えられる。

今後、症例数を増やし線維筋痛症に対し鍼灸治療がどのように治療効果を出せるか臨床を重ねて検討して行きたい。

 

演題発表に関連し、開示すべきCOI(利益相反)関係にある企業等はありません

 

※第11回日本線維筋痛症学会学術集会で演題発表したものです。