認知症や慢性疲労症候群でも、うつ病と似たような症状が見られます。

 

≪認知症でも抑うつ症状があらわれる≫

一般に年齢を重ねるにつれて、もの忘れが目立つようになってきますが、その多くは脳の老化による生理的な現象です。

ところが、記憶力だけでなく、思考力や判断力をはじめ、脳のさまざまな知的機能が低下して、日常生活に支障をきたすようになることがあります。

この現象が認知症で、アルツハイマー病や脳血管障害といった脳の病気によっておこります。

記憶力の低下は、生理的なもの忘れと比べて著しく、たとえば食事についていえば、何を食べたのかを忘れるだけでなく、食事をしたこと自体を忘れてしまいます。

また、自分のいる場所や日時が分からなくなり、計算能力なども失われていきます。

病状が進行すると、徘徊、被害妄想、失禁、激しい興奮といった症状もあらわれてきます。

認知症は、抑うつ症状で始まることが少なくありません。また、ものごとに対する興味や意欲が低下したり、感情の起伏が乏しくなるなど、うつ病によく似た症状があらわれます。

一方、うつ病でももの忘れが激しくなったり、気力が続かないために集中できず、結果的に時間や場所があやふやになるといった状況をまねくこともあります。

このため、周囲の人が認知症とうつ病を混同してしまうケースが少なくないのです。

 

≪認知症とうつ病は慎重な判別が必要≫

認知症では、はじめのうちはもの忘れなどの症状を不安がるものの、病状の進行に伴って次第に病気に対する自覚が失われ、病状を気にしなくなってきます。

一方、うつ病の場合は記憶力の低下などに悩み、不安とあせりから深刻に思いつめてしまいがちです。

また、認知症の場合は現在のところ、薬物療法を行っても病気の進行を遅らせる事しかできません。

これに対してうつ病では、認知症のような症状があらわれても一過性で、適切な治療によって回復します。

老年性のうつ病と認知症は、合併して起こるケースが少なくありません。