うつ病は、それこそ「かぜ」と同じように、誰でもかかる可能性のある病気なのです。特に職場や家庭での責任や負担が増しストレスを受けやすい中高年に多く見られます。

 

 

≪うつ病は決してまれな病気ではない≫

うつ病はよく、心の「かぜ」「肺炎」「骨折」などと表現されます。

「誰にでも日常的に起こりうる病気」という意味合いで、そのように例えられているのです。

たしかにうつ病は、心の病気の中では患者数のきわめて多いものの一つです。

世界保健機関(WHO)が発表した有病率では、世界の全人口の3~5%と推計されています。

有病率というのは、調査を行ったある時点(またはある期間)でのその病気にかかっている人の割合を指します。また、厚生労働省の報告では、一生のうちに一度でもうつ病にかかる可能性(障害有病率)は、およそ6.5%とされ女性は男性の約2倍となっています。

国立精神・神経センターなどのデータによると日本人の7人に1人はうつ病にかかったことがあるという結果が出ています。

 

 

≪社会の変化を背景として増加傾向にあるうつ病≫

うつ病を含めた気分障害と診断されて治療を受けている患者数の推計は、厚生労働省の調査によると1984年(昭和59年)に9万7千人だったものが、99年(平成11年)には44万1千人、2005年(平成17年)には92万4千人と大きく増えています。

 

前述したとおり社会のうつ病に対する理解が深まり積極的に受診する人が多くなったことも増加の一因でしょう。

しかし、それだけではなく私たちをとりまく社会環境の変化、とりわけうつ病の大きな誘因となるストレスの蔓延が拍車をかけている点も見逃すことはできません。

 

 

うつ病は、それこそ「かぜ」と同じように、誰でもかかる可能性のある病気なのです。

とくに職場や家庭での責任や負担が増し、ストレスを受けやすい中高年に多く見られます。

 

≪発症のピークは働き盛り世代≫

うつ病はどの世代にも起こりますが、その中で特に発症しやすいのは40~60歳代とされています。

日常的に、もっともストレスにさらされている働き盛りの世代は、出世競争、昇進に伴うプレッシャー、配転や定年退職、突然の解雇、更には子供の進学、老親の介護・・・などなどストレスの原因をあげればきりがありません。

うつ病は、たとえば高血圧や糖尿病といった生活習慣病と違い、健康診断などの検査で数値化されて認められているわけではありません。専門医の診察を受けない限り、本人も周囲の人もなかなか発症に気づきにくいものです。

うつ病が慢性化すると、回復までに長い時間を費やすことになりかねません。

また、放置しておけば「自殺」という最悪の結果を招くケースもあるのです。

うつ病は「かぜ」にたとえられるといいましたが、こうした点で考えると、「たかがこころのかぜくらい」と軽視することは避けなければなりません。

 

 

≪うつ病は「こころの骨折」≫

うつ病はよく「こころのかぜ」とたとえられるのですが、この表現はさまざまな誤解を生みました。かぜのように、ちょっと休めば治る、わざわざ医療機関で受診するまでもない・・・。

本当は「だれもがたやすくなりうる病気」といった意味合いで使われてきた表現なのです。

最近では「こころの骨折」とたとえられるようにもなりました。きちんと医療機関で治療を受ける必要があり、回復までに最低でも3ヶ月くらいかかり、安静もリハビリも必要で、患者さんにあせる気持ちを抑える我慢が求められる・・・

うつ病については正しく理解されていないまだまだたくさんあるようです。