からだの病気がきっかけとなってうつ病を発症したり、服用している薬の影響によって抑うつ気分が引き起こされるケースもみられます。

≪こころとからだは大きく影響し合う≫

人間のこころとからだは、分かちがたいものです。

感情の変化に応じて起こるからだのさまざまな変化は、誰もが経験していることでしょう。

 

試験や面接など、緊張を強いられる場面では胸がどきどきしたり、手足が震えたりします。

嫌なことをしなければならなかったり、嫌いな人と会わなくてはいけないときには、頭や胃が痛むケースもみられます。

「病は気から」と言われる通り、精神的な葛藤がからだの病気を引き起こすことは少なくないのです。

 

それとは逆に、からだの不調がこころの変調を招く場合もあります。

 

体調が悪いと、気分もすぐれないものです。

不安や抑うつ感、イライラ感、集中力や意欲の低下といった精神面の症状が、実は身体的なトラブルに起因していることは珍しくありません。

 

うつ病もまた、からだの病気をきっかけとして発症するケースがみられます。

 

 

≪うつ病を招くさまざま身体疾患≫

うつ病を招きやすい身体疾患としては、がん、糖尿病、心筋梗塞、脳血管疾患などがあげられます。

 

たとえば、がんの場合およそ2割の罹患者がうつ病におちいっているといわれます。

末期では、その割合が半数程度にまで高まるとされています。

どんな病気でも、経過が思わしくなければ不安が増して、気分はふさぎがちになるものです。

 

とくにがんの場合、転移や再発を起こしたり、ときに耐えがたい痛みを伴うため、うつ状態におちいるのは当然かもしれません。

不安感、興味の喪失、自殺したいという気持などは、がんに直面したことによる精神的な落ち込みととらえがちです。

 

しかし、うつ病を発症しているケースも多いです。

 

糖尿病の人がうつ病を発症する割合も高く、およそ2割にのぼるという報告もみられます。

糖尿病の場合、完全には治らない病気になったことによる精神的ストレスのほかに、モノアミンとインスリンの両方の分泌システムにかかわる共通の異常があるのではないかと考えられています。

逆に、インスリン非依存型(Ⅱ型)糖尿病の人の多くは、発症する前に抑うつ症状が見られたことの報告があることから、うつ病は糖尿病の危険因子ともいわれています。

糖尿病の人がうつ病になると、気力や意欲も低下して、十分な血糖コントロールができず、合併症がおこりやすいことも指摘されています。

心筋梗塞にうつ病を合併した場合、心筋梗塞の治療に支障をきたす点が大きな問題です。

 

いつ発作を起こすかわからないという不安を抱え、気力も減退して、医師の指示を守りながら日常生活を送ることが難しくなるのです。

うつ病を合併した人は、うつ病ではない人より死亡率が高くなると言われています。

 

脳血管疾患では、手足の麻痺などの機能障害が残ったとき、そのことで気持ちが落ち込んでうつ病を招くケースがあります。

また、脳内の病変が直接、モノアミンの働きを阻害して、うつ状態を引き起こす可能性も考えられています。

実際、脳血管疾患の人の20~30%は、半年から2年後にうつ病を発症しています。

 

一方、高齢になると、麻痺などの症状を伴なわず、肉眼で見えないほどの小さな脳梗塞(無症候性脳梗塞)が偶然見つかることがしばしばあります。

この無症候性脳梗塞と老年期のうつ病との関連についても、研究が進んでいます。

 

なお、抑うつ症状があらわれ、うつ病と判断された後で身体面の検査をしたところ、がんなどの重い病気が発見されることがあります。

このようなケースは「警告うつ病」と呼ばれています。

 

からだの病気は、身体面の治療だけでなく、精神面でのケアも重要といえるでしょう。

 

≪ほかの病気の治療薬もうつ病を招く≫

病気の治療のためにつかう薬の影響で、うつ病やうつ状態が生じるケースもみられます。

うつ病を引き起こす可能性のある薬としては、抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、降圧薬、消化性潰瘍治療薬、抗結核薬、経口避妊薬、副腎皮質ホルモン剤などがあげられます。

 

なかでも、降圧薬や副腎皮質ホルモン剤はうつ状態を招きやすいことが知られています。

 

また、ウイルス性肝炎の治療に用いられるインターフェロン製剤や、点鼻薬の酢酸ブセレリンなども、しばしばうつ状態を引き起こすことがわかってきました。

 

降圧薬のレセルピンを服用すると、15~20%の人にうつ状態が生じるといわれ、長期にわたって服用するほどその割合は高くなり、睡眠障害、不安や抑うつ気分、全身倦怠感、意欲の低下などの症状が見られます。

 

副腎皮質ホルモン剤に関しては、利用している人の2~3%になんらかの精神症状があらわれるようです。

躁状態がよく見られますが、うつ状態におちいるケースも少なくありません。

 

薬によるうつ状態に対しては、原因となった薬を減量したり、投薬を中止します。

一般に、薬の使用を中止すれば比較的短期間でうつ状態は改善されてきますが、必要に応じて抗うつ薬を用います。

 

千葉市稲毛区にある轟はり灸治療院では、 心療内科の治療も行っています。

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